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!!!5秒以上1分未満な物語!!!

ブログ小説第2弾です!今回は主人公がいますwずっと描きたかったテーマだったので…上手く表現できれば…と思います!

【KADODE】83話 足を引きずり、縺れ…

第83話 足を引きずり、縺れ… 今にも倒れ込みそうな満身創痍な人影… 「リージ…!いったい、なぜここに?」 ルピナスの静かな低い声を聞いた途端、 足を引きずる人影はついに地面へ崩れ落ちる。 ゼィ、ゼィ…と荒く息を吐きながらも懸命に言葉を紡ぐ。 「…ル、…

【KADODE】82話 心臓が壊れるかと思う…

第82話 心臓が壊れるかと思う。 今までの人生の中で…こんなに走り詰めた事は無いだろう。 元々文系派の自分は、運動する事も苦手だ。 これが、ただの運動や訓練なら…とうにリタイアしてる筈だ。 しかし… 今は走らなければいけない。 一刻でも早く…伝えなけれ…

【KADODE】81話 「カドデ起きろ…」

第81話 「カドデ、起きろ…」 低く囁くような静かなルピナスの声に「ふぇ…?」と、カドデは間の抜けた幼子のような仕草で、目を擦りながら起きる。 「もう朝…?都市に行く時間?」 「いや、明けるにはまだ時間はあるが… 誰かが近付いて来るようだ… 用心の為に…

【KADODE】80話 焚き火の燃える枯れ木がパチリと…

第80話 焚き火の燃える枯れ木がパチリと音を立てて崩れる音に覚醒する。 どうやらルピナスは瞬間的にではあるが眠りというものに落ちていたらしい… 現実の体では、あり得ない事だ。 隣では、ルピナスに背を凭れスピスピと寝息をたてているカドデがいる。 「…

【KADODE】79話 歩いて半刻ほど過ぎ…

第79話 都市へ戻るべく歩いて、半刻ほど過ぎ… 陽も地平へ沈もうという時刻だ。 このまま急ぎ足で閉門間近の街門へ滑り込もうかとも思ったが… ルピナスが持ち合わせている所持金は宿屋に泊まるほどの持ち合わせも無く、今後のことを考えれば節約もしたい。 大…

【KADODE】78話 2人の姿が地平から消えたのを…

第78話 2人の姿が地平から消えたのを確認して、ルピナスは背を翻す。 とりあえず、都市へ戻りもう少しだけ情報収集をしようと思った。 また、王都へ向かうにも旅券や旅道具が必要だ。 多少食わずとも、王都までたどり着く事は可能だとは思ったが… 衛兵に疑わ…

【KADODE】77話 「リーサ、準備はいいか?」

第77話 「リーサ、準備はいいか?」 「…うん…」 東の空がやっと白み始めた早朝。 辺りはまだ、夜の気配を残し寒々としているが 天上は雲ひとつない晴天が広がる。 ここから、丸一日近く歩き倒すには良い天候だが… リーサはやはり、曇天のような表情だった。 …

【KADODE】76話 リージの問い掛けに…

第76話 リージの問い掛けに暫く沈黙していたルピナスだったが… 「問題は無い。必要なら都市で冒険者登録でもして稼ぐとしよう」 ルピナスとしては、かなり珍しい軽い冗談のつもりだったが… 「ルピナスさん冒険者になるの⁈」 焚火の前でうとうとしかけていた…

【KADODE】75話 所持金無しの旅人など…

第75話 所持金無し食料無しの旅人など…普通あり得ないだろう。 本体のルピナスの体はいくら食事しなくてもいいとして… この世界では、ルピナスも1人の人間として存在を書き換えられる。 では、この世界で死を迎えたらどうなるか? カドデプログラムの住人と…

【KADODE】74話 今夜は良くても村に着くまでは…

第74話 「今夜は良くても、村に着くまでは気を抜くな…」 ぽつりと、焚火を前にルピナスが2人に囁く。 ルピナスから他者へ気遣う言葉など…滅多になかった。 リーサもリージも一瞬キョトンとした後… 柔らかい笑顔で頷く。 それから… 何だかんだと面倒見の良い…

【KADODE】73話 帰りの道のりは、行きよりも…

第73話 帰りの道のりは行きよりも距離が短く感じられた。 2人の姉弟は、こんな長距離を今まで歩いた事がなかった。 父ら自衛団に同行して山道を散策した時でさえ、朝行って夜には帰宅だった。 今回の旅路は(旅としては、ごく小規模だが)2人にとって、忘れら…

【KADODE】72話 外は日が傾き、街中を金色に染めていた。

第72話 酒場の外へ出た一行を出迎えたのは… 日が傾き、街中を金色に染めていた夕日だった。 「もう日が落ちるのかぁ…なんだかあっという間…」 今日、午前中に街へ入ってから数時間… 2人には、あっという間であり、様々なカルチャーショックを詰め込んだ長き…

【KADODE】71話 「ん〜〜!美味しい!」

第71話 「ん〜〜!!美味しい!!」 リーサが唸りながら顔をくしゃくしゃにする。 「この、南方野菜…食感がプチプチするよ! 果実のドレッシングも甘酸っぱくて合う!」 「鴨肉も柔らかいね。まるで…本で読んだ宮廷料理みたいだ…」 リーサとリージが感動で騒…

【KADODE】70話 「うわぁ〜!これが都会のご飯かぁぁ」

第70話 「うわぁ〜!これが都会のご飯かぁぁ」 給仕が運んできた何品かの料理にリーサは目を輝かせた。 「り、リーサ!恥ずかしい…」 リージは、そんなリーサの田舎者丸出しの発言に頬を染めるが、リーサは感動を隠そうとしない。 鴨肉の薄切りロース、南方…

【KADODE】69話 「ありがとうこざいます、ルピナスさん」

第69話 「感謝します、ルピナスさん。 リーサと2人では少々野宿時の戦力に不安があったので…」 遠慮がちなリージのセリフと、満面の笑顔の反比例にリーサはクスリと笑う。 別れが数時間先延ばしになっただけ、だったが… それでもルピナスとの思い出が増える…

【KADODE】68話 ルピナスの感情はまだまだ靄がかかっているように…

第68話 ルピナスの感情はまだまだ靄がかかっているように鈍く、緩慢だ。 喜びや悲しみも…明確に心へ繋がらない。 それでも、ほんの数日…皆と行動を共にして …ルピナスとしては、劇的に自身の変化があったように思う。 命令や指示では無い、他愛無い会話が… …

【KADODE】67話「ルピナスさんとお別れ…」

第67話 「うぅ…ルピナスさんとお別れ…悲しいよう」 先程まで酒場のミルクにはしゃいでいたリーサは、涙で顔をくしゃくしゃにしていた。 「リーサ、仕方ないだろ? ルピナスさんにだって色々事情もあるんだし。 …僕らだって、少しだけ街の見学するって条件で…

【KADODE】66話 日が傾く前には…

第66話 日が傾く前には、ルピナスと別れて村へ帰還しなくてはならないのだ。 まさに… この酒場を出たら、そこで…。 大都市見学にうわついていた気持ちから、急に現実に戻された気分になった。 リーサの手に包まれているカップの中のミルクは半分になっていた…

【KADODE】65話 琥珀色の飲み物を凝視して…

第65話 その琥珀色の美しい飲み物を凝視して固まっているルピナス。 リーサはいたたまれず、ルピナスに声を掛ける。 「ルピナスさん? …どうしたの?このお酒、やっぱり美味しく無い?」 グラスに付いた水滴が木製のテーブルに滴り落ちる。 ややあって、ルピ…

【KADODE】64話 隣席の冒険者は討伐の成果を…

第64話 隣席の冒険者らは、討伐の成果を称え合う。 給仕の少年は注文品を料理人に大声で伝える。 カウンター席の男は泥水し別れた女房の未練を独り言ちる。 様々な声が猥雑に店内に響き合う。 そんな中、1番奥の席の数人組の冒険者風情の人物らの会話が耳に…

【KADODE】63話 「うーん…何だか…

第63話 「うーん…何だか、いざとなると…見知らぬ人に話し掛けるのって勇気いるね」 リーサがキョロキョロしながら店内を見渡す。 …無理も無い。 店内で飲んでる客らは一様に泥水している。 まだ夕時ながら、出来上がっている、のだ。 まして、先日ワイパーン…

【KADODE】62話 その酒は美しい琥珀色をしていた…

第62話 その酒は美しい琥珀色をしていた。 「お酒って美味しいのかなぁ?」 「ダメだぞリーサ!」 「分かってるわよ〜!ただ聞いてみただけ」 ルピナスにも味は分からないのだ。 琥珀色のその液体…酒、は…良く冷えているらしく、グラスに水滴が付いていく。 …

【KADODE】61話 結局3人は酒場に入った。

第61話 結局3人は酒場に行った。 例の如くリーサが故郷の村へ帰る前に、どうしても見てみたいと嘆願し…(駄々をこね)たのだ。 かくして3人は路地裏にある冒険者が多く集うという酒場に足を踏み入れる。 酒場の店主も保護者同伴なら…と、入店を拒否しなかった…

60話【KADODE】久々に自分へ話しを振られる…

第60話 久々に自分へ話しを振られる。 ルピナスは決して自分の目的やカドデの事を忘れていた訳では無い。 けれど、街へ入りはしゃぐ2人のテンポ良い会話など聞いてるうちに…ずっと、この2人と一緒に居るような…そんな気分が一瞬でもしていた事に気付く。 今…

59話【KADODE】ギルド内は混み合っていて…

第59話 ギルド内は混み合っていて、数ヶ所ある窓口も人の行列でいっぱいだった。 「うぅ〜ん…何ていうか… ゆっくりギルドや冒険者について聞ける感じじゃないなぁ…」 大きな掲示板に集まる冒険者や、窓口へ向かう人達は皆、忙しそうで、この建物内には明らか…

58話【KADODE】「なるほど、冒険者も腕っぷしだけの…」

第58話 「なるほど…さすがに冒険者も腕っぷしだけのならず者って訳にはいかないんですね…」 リージが感心したように言うとリーサは… 「リージ!あなたも冒険者に興味湧いてきたの? 百歩譲って姉弟で冒険者ってのもいいよね!」 「…僕は冒険者に興味持ったん…

57話【KADODE】ギルド支部の建物の中…

第57話 国家が組織作りを後押ししたギルド…その4ヶ所あるうちの一つ、貿易都市アクトスのギルド支部… その建物の中もまた、重厚であった。 さながら、都市の役所か大銀行並みの造りで、趣きのある窓口は十数ヶ所横に並び、 エントランスもまた広く造られてい…

56話【KADODE】「さぁ、ここがギルドです!」

第56話 「さぁ、ここがそのギルドですよ!」 職員の指す建物は、がっしりとしたレンガ作りの二階建ての建物だった。 この都市の中では、三階建ても珍しく無いが、建物面積も大きく、重厚な造りである為、この都市の中にあっても決して見劣りするものでは無か…

55話【KADODE】私くらいの年でもなれるって事⁈

第55話 リーサのおさげ髪がピンと跳ね上がった。 「私くらいの年でもなれるって事⁈ 」 しかし職員はやんわりと言う。 「ええ…ですが、本当に希なケースですけどね。 親が既に冒険者に近い職業をしてたりとか、身寄りが無く幼い頃から戦闘訓練を受けていた孤…

54話【KADODE】何かお探しですか?

第54話 「何かお探しですか?」 男性がゆったりと話し掛けてきた。 「あ!はい。 私達…ギルドの建物を探してるんです。 ほら、あの…怪物退治とかを依頼したり受けたりする…」 一般人は怪物退治などに疎いのかと、リーサは必死で身振り手振り使って説明しよう…