【KADODE】70話 「うわぁ〜!これが都会のご飯かぁぁ」
第70話
「うわぁ〜!これが都会のご飯かぁぁ」
給仕が運んできた何品かの料理にリーサは目を輝かせた。
「り、リーサ!恥ずかしい…」
リージは、そんなリーサの田舎者丸出しの発言に頬を染めるが、リーサは感動を隠そうとしない。
鴨肉の薄切りロース、南方野菜の果実ドレッシング和え、ライ麦パンのポークサンド、トマトとナスの三種チーズグラタン…
故郷の村では食べた事も見た事も無い料理の数々だ。
小さな農地と、木こりをして細々と生計を立てている貧しい村では、毎日が質素倹約だ。
「村じゃ…野菜の塩味スープと固いパンくらいしか出ないよね…
こんな彩りのある食べ物があるんだ…」
口をぽかんと開けるリーサ。
本当なら、ツッコミを入れたいリージだが…
自らも、感動を抑えられずひと事ではなかった。
ルピナスは…料理自体には感慨は無い。
料理など、自分が食べる物では無いと…数百年来の認識だった為…今でも他人事な印象だ。
その横では、同じく食べる事が出来ないカドデだったが、羨ましそうに涎を流していた。
「と、とにかく食べてみよう。
食事マナーは…、、冒険者酒場だし余り気にしなくて良さそうだね」
「ほらほら!ブツブツ言ってないで、リージ小皿に分けるよ〜!
ルピナスさん、はい!いっぱい食べてね!」
普段ルーズなリーサだったが…早く料理食べたさに、珍しくテキパキと皆の分の料理を小皿に分け与える。
(71話へ続く)