【KADODE】76話 リージの問い掛けに…
第76話
リージの問い掛けに暫く沈黙していたルピナスだったが…
「問題は無い。必要なら都市で冒険者登録でもして稼ぐとしよう」
ルピナスとしては、かなり珍しい軽い冗談のつもりだったが…
焚火の前でうとうとしかけていたリーサが食い付く。
「リーサ…!夜中に大声は危険だぞ!」
「うぅ…ごめん。
でも、ルピナスさん羨ましい事言ってるから…」
まさに心の声が表に出て来た…という感じだ。
「…なれるかどうかは…分からないがな」
軽い感じで言ってしまった事を若干後悔するルピナスだ。
「ルピナスさんなら、なれるよ!
凄く強いし!大人だし!」
「…大人…」
リージが半目がちにリーサを見る。
「いぃなぁ〜…大人なら…
両親の意見気にせずに好きな職に就けるもんね…」
「お前にも…まだまだこれからがあるだろう?」
「そうだけど…歯がゆいよ…」
しょぼんと目と、おさげが垂れる。
「しっかりと一歩一歩大人になっていけばいい…」
「うん…」
大人になったら…好きに生きられる…
ルピナスの、今や鋼に変わり果ててしまった心臓に冷たい杭が刺さるような心地がした。
そのような事…鑑みる環境に無かったルピナスの過去…
だからこそ願う。
この2人の自由なる未来を…
(77話へ続く)