【KADODE】67話「ルピナスさんとお別れ…」
第67話
「うぅ…ルピナスさんとお別れ…悲しいよう」
先程まで酒場のミルクにはしゃいでいたリーサは、涙で顔をくしゃくしゃにしていた。
「リーサ、仕方ないだろ?
ルピナスさんにだって色々事情もあるんだし。
…僕らだって、少しだけ街の見学するって条件で村から出て来たんだから」
リージは淡々と諭しながらも、自身にも言い聞かせるように語る。
「…分かってる。
父さんや母さんだって心配してるんだから、村に帰らなきゃなのは…」
鼻をすすり、お下げ髪もすっかりしおしおになっているリーサ。
「村に帰りたく無い訳じゃないの…
…でも、ルピナスさんとは…もう会えなくなるんじゃなかなって…」
再び涙を溜めるリーサ。
「それは…
…でも、二度と会えない訳じゃないさ!
僕らが成人して、いつかこの街で再会を約束すればいいじゃないか!」
声が震えないよう、必死に気を張っているリージをリーサは知っている。
「…ルピナスさん…また…会える?」
目を潤ませて、ルピナスを見上げるリーサは、まるで仔犬のようだ。
だが…
リーサの願いにルピナスは返事をすることができない。
…その事がルピナスの胸ね辺りにまた、感情と呼べるような痛みをもたらす。
「…また必ず会えるかは…分からない。
…だが、お前達2人の事はずっと見守っていこう」
言葉通りずっと…幾年月もだ。
(68話へ続く)