56話【KADODE】「さぁ、ここがギルドです!」
第56話
「さぁ、ここがそのギルドですよ!」
職員の指す建物は、がっしりとしたレンガ作りの二階建ての建物だった。
この都市の中では、三階建ても珍しく無いが、建物面積も大きく、重厚な造りである為、この都市の中にあっても決して見劣りするものでは無かった。
ただし…都市の中の銀行や役所と違って、一般人…特に女性や年寄り、子供の建物への出入りはかなり少なく、反対に厳つい兵士と思しきグループが出入りする異様な光景が、この建物へのイメージを作り出していた。
「うわぁ…強そうな戦士さん達ばかりだぁ!」
リーサは再び顔を紅潮させる。
「見て!あの大剣…あんな大きな剣を背負えるなんて…!!」
「り、リーサ!あんまりキョロキョロするなよ!恥ずかしい…」
リージはリーサとは別の意味で顔を赤くする。
リーサは放っておけば、黄色い声を出してサイン色紙を冒険者へ差し出し兼ねない。
「…プッ…、…、ど、どうです?
建物の中も見学してみたら」
職員はリーサを見ながら吹き出すのを必死で堪えているようだ。
「きゃぁぁ♫いいんですか⁈ 中も見たい!」
完全にお上りさん(もしくはアイドルの追っかけ)になっているリーサを…
リージはさりげなく距離を取り他人を気取ろうとする。
顔かたちがそっくりなので不可避ではあるが。
(57話へ続く)