【KADODE】81話 「カドデ起きろ…」
第81話
「カドデ、起きろ…」
低く囁くような静かなルピナスの声に「ふぇ…?」と、カドデは間の抜けた幼子のような仕草で、目を擦りながら起きる。
「もう朝…?都市に行く時間?」
「いや、明けるにはまだ時間はあるが…
誰かが近付いて来るようだ…
用心の為に…少し身を隠すぞ。」
極めて静かに言ったルピナスだが…
聞いたカドデはピンと背筋を伸ばす。
「ど、泥棒さん⁈
そそそれより、お化けだったら…どうしよう〜⁈」
「…、…さあな。」
動揺して身を強張らせるカドデを小脇に抱え、ザッと土を焚き火に掛け火を消す。
そのまま少し離れた茂みに身を隠す。
足音はカドデにも聞こえる程に近付いて来る。
「カドデ、お化けだって怖くないよ!
ピコピコハンマーでやっつけてやるの〜!」
ルピナスの背に隠れながら説得力の無い闘志を燃やすカドデだったが…
「いや、やはり人間のようだ…しかも…
この気配…」
冷静だったルピナスの声が僅かに上ずる。
闇の向こうで、足を引きずり荒い息を吐きながらフラフラと歩く影が見え始める。
(82話へ続く)