54話【KADODE】何かお探しですか?
第54話
「何かお探しですか?」
男性がゆったりと話し掛けてきた。
「あ!はい。
私達…ギルドの建物を探してるんです。
ほら、あの…怪物退治とかを依頼したり受けたりする…」
一般人は怪物退治などに疎いのかと、リーサは必死で身振り手振り使って説明しようとするも…
「おやおや、お嬢さん方…ギルドに用があるのですか?」
「え⁈ オジ…いえ、お兄さん?ギルドを知ってるんですか?」
「知ってるも何も…私はそこの職員でして。
今、昼食用の買い出しに出てた所なんですよ」
「うわぁ!偶然!
あ、あの!ギルドまで案内お願いできますか?」
「勿論ですよ。何せ行く建物は一緒なのですから。
…しかし…年若いお嬢さん達がギルドに何用で?
…まさか怪物退治のご依頼ですか?」
「い、いえ…その…見学を…」
職員の男性に質問され、リーサは急に縮こまる。
「ああ、見学ですか。
ええ、ええ。冒険者に憧れる子供達は多いんです。」
「う…子供…」
「おや、失礼!お嬢さんくらいの年頃なら…本気で目指す方も多いですけどね。」
「その…何才くらいになったら…冒険者になれるものなんですか?」
職員の男性は優しく微笑む。
「お嬢さんくらいの年頃の人でも、訓練して既に冒険者として活躍してる人もいますよ。」
そんな職員の言葉にリーサのおさげ髪は跳ね飛んだ。
「私でも…もうなれるって事…⁈」
(55話へ続く)