【KADODE】78話 2人の姿が地平から消えたのを…
第78話
2人の姿が地平から消えたのを確認して、ルピナスは背を翻す。
とりあえず、都市へ戻りもう少しだけ情報収集をしようと思った。
また、王都へ向かうにも旅券や旅道具が必要だ。
多少食わずとも、王都までたどり着く事は可能だとは思ったが…
衛兵に疑われ、騒がれては潜入失敗だ。
出来るだけ…この世界の人間に紛れ、疑われないよう王都へ入る必要もある。
「やはり…冒険者登録してみるのが妥当か…」
実力と身上さえクリアすれば、冒険者になる事自体は容易いという。
だが当然、冒険者業で食い扶持を稼ぐには相応の努力が必要となるが…
ルピナスにとっては、王都へ潜入する身分証としての身上が出来れば、それで十分だ。
「問題は…書類審査の身上か…」
四大都市に入る時の旅券は…
リーサ達の兄君の身上を使わせて貰った。
更に2人も同行してたから、全く疑われはしなかったが…
果たして再度兄君の身上を使用して良いものなのか…
「…今は一か八か…使わせて貰うしかないか…」
せめて、王都へ無事入り、調査するまでの間…
本人には申し訳ないが…身上を使わせて貰おう。
疑われ、騒がれては本人にも迷惑がかかる。
それだけは回避しなければ…
と念じながら、再度都市の門をくぐるべく歩き始める。
(79話へ続く)