【KADODE】111話 自警団の彼らがいかに…
第111話
自警団の彼らがいかに、死力を尽くして戦い、燃え尽きるその瞬間まで生き、そして最期を迎えたか…
リーサは父や、自警団の皆を喪った悲しさよりも…
彼らの生きた証を聞いて欲しかった。
そして悔しかった。
あんなに傷付き、苦しみ
尚も立ち上がり…
犠牲を乗り越え、恐怖を乗り越え
戦い尽くしたのに…
全てを、命さえ投げ打った代償を
ワイバーンはいともあっさり払い除けたのだ。
ましてリーサ自身…
何も出来なかった。
父の元へ駆け付け共に戦うと言ったはいいが…
仲間の死体の数々に慄き足が竦んだ。
何より、父の壮絶な剣幕に呑まれた。
『お前は木の虚へ隠れていろ!
決して表へ出るな!』
…よく喧嘩はしたけれど…
こんな恐い父は初めてだった。
リーサは何も出来ず、ただ怯え
…そして父や自警団の死力を尽くした戦いも無駄に終わったのだ…
何も守れず…村は滅んだのだ…
リーサは抱えていた膝を、爪が白くなる程痣になってしまう程握り締めた。
皆の死闘に意味など無かった。
皆の死に救いなど無かった。
それがリーサを絶望へと追いやる。
「自警団の死力は無駄では無い…」
「…え、、、?」
無機質で静かな声が響く。
ルピナスの声だ。
「…自警団はちゃんと守れたじゃないか…」
骨張った長い指が指し示す。
「…リーサを…、、、ちゃんと守った。」
(112話へ続く)