【KADODE】79話 歩いて半刻ほど過ぎ…
第79話
都市へ戻るべく歩いて、半刻ほど過ぎ…
陽も地平へ沈もうという時刻だ。
このまま急ぎ足で閉門間近の街門へ滑り込もうかとも思ったが…
ルピナスが持ち合わせている所持金は宿屋に泊まるほどの持ち合わせも無く、今後のことを考えれば節約もしたい。
大都市内で野宿も悪目立ちするかもしれない…
少し考えたのち、街門手前で今日は野宿し、明日朝から冒険者ギルドへ出向く予定を立てた。
2人と別れ寂しそうに目を擦っていたカドデも落ち着いたらしく、今は焚火の揺れる炎を面白そうに見つめている。
「ルピ兄しゃん、カドデはずっと一緒にいてあげるからね、寂しくないからね?」
自身の寂しそさを紛らわす為か…しきりにカドデはルピナスに話し掛けてきた。
この世界の秩序を守る為…無垢なカドデがこれ以上傷付かない為…
真相を調査し、バグを見つけ出す…
これから先は2人きりの長い旅になるだろう。
喋り疲れたカドデが柔らかに揺れる炎の前でうとうとし始める。
「主プログラムに疲れなど…あるのだろうか?」
妙に人間くさいカドデに、ルピナスの口元が少しだけ綻ぶ。
(80話へ続く)