【KADODE】80話 焚き火の燃える枯れ木がパチリと…
第80話
焚き火の燃える枯れ木がパチリと音を立てて崩れる音に覚醒する。
どうやらルピナスは瞬間的にではあるが眠りというものに落ちていたらしい…
現実の体では、あり得ない事だ。
隣では、ルピナスに背を凭れスピスピと寝息をたてているカドデがいる。
「カドデの影響か…?」
この世界に来て…自身がとうに忘れていた人間味が…僅かながらも蘇っているような…そんな感覚を覚える。
この世界に存在する全てに影響を与える主プログラムのカドデが…
何らかの影響を及ぼしているのだろう…
そんな漠然とした解釈を頭の片隅へ追いやり、小さくなりつつある炎へ枯れ枝を焚べる。
天を見上げれば…月がだいぶ傾いている。
夜明けもそう遠くは無さそうだ。
て慰めに枯れ枝を手に取ろうとした時…
僅かな風に乗って、足音が聞こえてきた。
「獣…?…いや…
これは人間か…?」
夜も更け、朝にはまだ至らない時刻だ。
夜を徹して都市へ赴く旅人だろうか?
「…いや…足取りが不安定過ぎる…」
規則正しく歩みを進める旅人のそれでは無さそうだ。
体調が悪く、覚束ない足取りに聞こえるが…
しかし、なぜこんな夜更けに?
「しかも単独だ…」
どう見ても尋常ではない、その足音にルピナスは即座に警戒し、行動を起こす。
(81話へ続く)