【KADODE】83話 足を引きずり、縺れ…
第83話
足を引きずり、縺れ…
今にも倒れ込みそうな満身創痍な人影…
「リージ…!いったい、なぜここに?」
ルピナスの静かな低い声を聞いた途端、
足を引きずる人影はついに地面へ崩れ落ちる。
ゼィ、ゼィ…と荒く息を吐きながらも懸命に言葉を紡ぐ。
「…ル、ルピナス…さん…?」
「ああ…。
リーサはどうした?
…何があった?」
リーサの名を聞いた途端…
リージの堰き止められていた感情が溢れる。
「う…、…、うわぁぁぁ…!…っ、…っ…」
人前で声を上げて泣くなんて…子供では無いのだから…!
リージの理性が働こうとするが、止められない。
「…うっ…っく…」
涙を、感情を抑え込もうと必死に目を擦る。
カドデが心配そうに、リージの背を撫でる。
ルピナスは共に屈んで、リージが落ち着くのを静かに待つ。
「…ごめ…んな…さぃ…。
…僕…助けを…
助けを呼んで来いって…頼まれて…」
ルピナスが頷く。
焦らせ無いよう、且つ話しを進めさせる。
「…昨日…
夕方頃に…、故郷の村に…
もぅ少しで家に帰る…時に…」
(84話へ続く)