【KADODE】65話 琥珀色の飲み物を凝視して…
第65話
リーサはいたたまれず、ルピナスに声を掛ける。
「ルピナスさん?
…どうしたの?このお酒、やっぱり美味しく無い?」
グラスに付いた水滴が木製のテーブルに滴り落ちる。
ややあって、ルピナスはやっとリーサの問いに答える。
「いや…少し考え事をしていた。」
そこへ、同じく気に掛けていたリージも声を掛ける。
「今後の事…ですね。
やはり、この都市では…ルピナスさんの求める情報は手に入りませんでしたか…」
「いや。多少は手答えはあった。
…しかし、やはり王都へ行かなければならない」
そんなルピナスの発言に、リーサはその明るい顔を僅かに曇らせる。
「ルピナスさん…やっぱり行っちゃうの?」
ルピナスは王都へ。
そして、自分らは程なく村へ帰還。
出会ってから、1週間に満たない間柄ではあったが、リーサはルピナスに相当懐いていた。
冒険とは全くほど遠い、小さな旅だった。
旅人や商人から言わせれば、「おつかい」程度だ。
それでも、初めて村を出ての遠出。
産まれて初めての大都市…
リーサにとって(恐らく、口には出さないがリージにとっても)この旅は一生の記憶に残るだろう。
「大人になって、数年して…
自由に外へ出られる時が来たら…
またルピナスさんと会えるのかな…?」
(66話へ続く)