【KADODE】72話 外は日が傾き、街中を金色に染めていた。
第72話
酒場の外へ出た一行を出迎えたのは…
日が傾き、街中を金色に染めていた夕日だった。
「もう日が落ちるのかぁ…なんだかあっという間…」
今日、午前中に街へ入ってから数時間…
2人には、あっという間であり、様々なカルチャーショックを詰め込んだ長き数時間だっただろう。
「大人になったら…また絶対に来るんだ。
次は2〜3泊しちゃうんだから!」
名残惜しそうに、けれど清々しくリーサは街門へ歩んで行く。
大都市の街並み、これまでの旅路…そこで知り得た事もまたリーサやリージの大きな糧となり、自分の未来への選択肢を広げる豊かな要因になるだろう。
お土産を持って帰ろう…
勿論、物品も買ったけれど…
口から伝える事お土産もいっぱい出来た。
一行の目の前に、巨大な門が聳える。
一歩一歩踏みしめるように門をくぐる。
「ルピナスさん、本当にいいの?
明日の朝まで…帰り道付き合って貰うの…」
もう一度リーサが確認する。
「ああ。お前たちこそ、明日朝からは2人だぞ。気を引き締めて帰れ」
「はい!早めに歩いて行けば…明日夜には村へ着くと思います」
明日朝には、ついにルピナスとの別れもあるのだ。
門を過ぎ、遠ざかりつつある大都市をもう一度リーサは振り返る。
「楽しかったな…」
寂しさを振り切るように、また前を向き歩き出す。
(73話へ続く)