【KADODE】109話 古く大きな木の虚の中に…
第109話
古く大きな木の虚の中に、リーサは蹲っていた。
身を縮め、両手で膝を抱え
小刻みに震えながら…
普段なら、そのクリクリとした大きな目はキラキラと好奇心を宿し輝いていたが…
今は泣き腫らしたのだろう、瞼は赤く腫れ虚ろな目を覗かせていた。
リージの呼びかけにも応じる素ぶりを見せない。
それでもリージは、リーサへ近付き肩を揺らす。
「リーサ!リーサ!しっかりしろ!」
リーサのそんな姿にリージさえも涙声になり、時折喉を詰まらせるが…
何度も何度もリーサに話し掛ける。
「リーサ!気をしっかりもて!
ワイバーンは…
皆を殺したワイバーンは倒したから…
皆の仇はルピナスさんが取ったから…」
懸命に堪えていたリージの涙腺もついに決壊する。
自身で発した言葉に改めて、これがただの悪夢では無い事を突き付けられた心地がして…
(110話へ続く)