【KADODE】73話 帰りの道のりは、行きよりも…
第73話
帰りの道のりは行きよりも距離が短く感じられた。
2人の姉弟は、こんな長距離を今まで歩いた事がなかった。
父ら自衛団に同行して山道を散策した時でさえ、朝行って夜には帰宅だった。
今回の旅路は(旅としては、ごく小規模だが)2人にとって、忘れられない学びの場ともなった事だろう。
「あ〜…面白かったなぁ!
いっぱい歩いて、野宿も経験して…
直接戦えなかったけど、ワイパーンにも遭遇したし、カッコいい冒険者さんにも出会えた!」
「リーサ…印象に残ってるのが、それなのか?
街の事が二の次だとはな。」
「もちろん、大都市の記憶も大きいよ!
ほんっと素敵だった!
大都市は…また絶対行くんだから!」
「そうだね。
僕も、もう少し成長して…また行ける事なったら…都市図書館にじっくり行って勉強したいよ…」
「リージらしいな〜
今回は、外観だけの見学だったもんね…
本当、都市をじっくり見て回るには時間足りなかった!」
「大半が、リーサのワガママに付き合わされただけだったもんな〜」
「あ!酷ぉい!…そんな事…
ちょっとしかないもん〜」
日が沈み、尚も歩いた後、遅めの夕食と野宿の為に焚火をする。
姉弟はそんな哀愁を振り払うべく、焚火を囲い努めて明るく土産話を繰り出していた。
(74話へ続く)