50話【KADODE】人混みに押し潰されている…
第50話
一方、ルピナスは…
人混みに若干の躊躇はあるものの、黙々と歩く。
すれ違う人々を触れる事無く回避していく事は、ルピナスにとって労では無かった。
しかし…ルピナスの後ろからチョコチョコと歩く子供並みの身長しかないカドデにとっては難関らしく…
呆けながら歩くリーサやリージよりも歩調は遅れ…
「あうぅ…すいません、と、通して下さい〜
あう…!」
すれ違う人が来る度にぶつかり、前後を歩く人には潰され…辟易とした様子だった。
そもそも無理も無い。
他者はカドデの姿を見る事は出来ないのだから…
いや、そもそもカドデは物質をすり抜ける事が出来るのでは…?
カドデの姿自体はホログラムに近い原理なのではと思うのだが…
幾多の時代を経た先にAI技術を極限に進化させ、辿り着いた果てが主プログラム…カドデという存在だ。
ルピナス自身、超高性能なコンピュータを内蔵しているが…
創造主になり得るカドデの思考技術まで到底踏破出来ないだろう。
そんな主プログラム、カドデは…
望めばいくらでもチート出来ように、
あくまで人間と同じ目線、同じ労力を使いたがった。
「カドデね、人間と同じようにしたいの!人間は人混みの中でもいっぱい歩くし、大変なのも楽しいの!」
「えへへ…カドデ、ちょっと人間ぽい?」
しかし…最早サンドバッグのようにヘロヘロになっているカドデを見兼ねルピナスは…
「自分の肩に乗れ」
…と、カドデをひょいと持ち上げた。
「う⁈ これ…これって、もしかして…
肩車?あう…初めてなの!
肩車!肩車〜!」
カドデはルピナスの肩の上で暴れるようにはしゃぐ。
「騒ぐな。落ちるぞ?」
(51話へ続く)