49話 リーサは上を見上げ口をあんぐり開けていた…
第49話
リーサは上を見上げ口をあんぐり開けていた。
「リーサ!田舎者丸出し!
恥ずかしいし通行人の邪魔だから、さっさと歩く!」
リージがリーサの腕を取り強引に引っ張っていく。
しかしリーサは未だに呆けている。
〜アクトス〜…四大都市が一つ、王都を囲むようにして点在する都市の中で西方に構える、国内最大の貿易拠点だ。
隣国から続く、商用ロードの中継地としても、また巨大な港から無数の船で、海産物は勿論、他国からの様々な品が運ばれて来る。
街門から真っ直ぐに港まで伸びる大通りは、
人が真横に十数人並んで歩いてもまだ余裕がある程広く、馬車が駆けて行く横を多くの人々が通り、その通行人目当てに立ち並ぶ店屋は
声を掛け、商いは大いに賑わっていた。
「あわわわ…こんな人混み…見た事無いよ…」
「…確かに…凄い人だね!歩くのも大変だ…」
大通り左右にぎっしりと軒を連ねる店屋の2階や3階は、住居や倉庫として使っているらしく、人があくせくと動き回る気配がする。
賑わいは大通りのみならず、何ヶ所もある横道にも多種多様な店が見て取れた。
(50話へ続く)