【KADODE】47話 濃紺に染め塗られていた空は白み…
第47話
濃紺に染め塗られていた空は白み、夜明けの澄んだ空気を楽しむような小鳥のさえずりを聞きながら一行は出発の準備に取り掛かっていた。
「ふゎぁ…まだ眠い…もう1時間くらいは寝たいところ…」
「開門は朝7時からだよ。
…早めに入って、ゆっくり都市観光したいだろ?」
リージのそんな言葉にリーサの寝ぼけ眼は吹き飛んだ。
「行きたい行きたい♫
朝食も都市で食べようよ!どんな美味しいのがあるかな〜?」
美味しい食べ物…と聞いて、未だ寝ていたカドデも起きだす。
「…確かに都市には珍しい料理もあるだろうけど…あんまり高いのはダメだぞ?
村の皆へのお土産も買わないとだし…」
日頃、冷静沈着なリージもまた心なしか浮かれているようだ。
「分かってる、分かってる♫
リージは都市にある図書館行くのが楽しみなんでしょ〜?
あぁ…なんだかドキドキしてきた!
私達、田舎者に見えないかな?」
「本当に田舎者だろ?僕達…」
2人の会話は今までに無いほど弾んでいた。
年齢の事はさほど気にせず旅を共にしてきたが…
本来の年相応な、無邪気さを垣間見た気がした。
ルピナスはふと、思う。
自分にも、こんな無邪気だった世代はあっただろうか?
否…
感情を抑制する薬を飲まされ、人と会話する事を極力禁じられ…
人間らしい少年時代を過ごした記憶は無かった。
そして未だ感情豊かとは言えないルピナスだが…
この場の空気は悪くはないと、漠然と思う自分がいた。
(48話へ続く)