【KADODE】106話 村の中を歩く程…
第106話
村の中を歩く程、悲痛で砕け落ちそうになる気持ちを…
それでも繋ぎ止め、足を前進させる。
ほんの僅かだが、希望があった。
村の誰かが生き残っている…
それに縋るように村外れまで歩いて来たが…
リージの歩みはついに止まってしまう。
村の外れには、激しく戦った痕跡があった。
曲がったり、折れた剣や槍…
破壊された村を囲む柵や門…
そして
必死に抵抗して倒れた人間の遺体…
「…自警団の…皆だ…」
リージは吸い寄せられるように、ふらふらと一体の遺体へ歩み寄る。
「…!!
…と、…父さん…!!」
絞り出すように声を上げリージは遺体の元へ膝をつく。
その遺体は誰よりも損傷が激しかった。
全身傷だらけで、致命傷だったのだろう首元の一撃を受けても尚、立ち上り戦おうとした…
大量の出血は地面を広く黒く染めていた。
(107話へ続く)