【KADODE】104話 「急いで助けましょう!」
第104話
「急いで助けましょう!」
リージは未だ震える膝を叱咤しながらルピナスに近づく。
辺りを見渡したが…人の声は聞こえない。
聞こえるのは炎の燃える音や、炭と化した家屋の崩壊する音…
「…どの辺から…人の声が…?」
「こっちだ。…リージ、歩いて行けるか?」
激しい動揺が連続した為に足に力が入らなくなってはいるが…
ルピナスに背負って貰う程、子供では無いと、自分に喝を入れルピナスの後を付いて行く。
しかし…
その気力は、焼けた村の中央を通り
外れに差し掛かる頃には潰えようとしていた。
この小さな村に生まれた時からずっと慣れ住んでいたリージにとって、
村人全員が幼馴染みであり、親戚のような存在だった。
(105話へ続く)