【KADODE】22話「さて…先程貴方は聞きたい事があると…」
第22話
「さてさて…先程貴方は聞きたい事があると
言っていたようですが。
私らに何を聞きたいと…?」
「ああ。」
香り良い茶の余韻に浸りながらも茶器を置き、家主である自警団団長に顔を向ける。
「村の外の森に出没した…あの一つ目の怪物のような存在は…この世界に蔓延しているのか?」
「…サイクロプスですね、えぇ。もうずっと…
いたる所に怪物は存在してます。
種類も強さも多種多様に…」
「この地域はまだ、マシな方なの。
脅威のサイクロプスも普段は大抵山奥の洞窟にいるから…滅多には人里には来ないし…」
「だが、稀に人里に降りて来て村を襲う。
我々はその為に自警団を作り自己防衛をしている。」
「この国に政府機関は無いのか?
国家が兵を出し、治安を維持しないのか?」
「…騎士様や兵士はいるけど…
もっと強い怪物もいるし、こんな外れの村なんて助けてくれないのよ」
少女は幼さの残る勝気な顔を曇らせる。
「地方の小さな集落は大抵そんな扱いです。」
団長もまた苦々しく眉を寄せる。
「でもね!大都市には怪物討伐専門のハンター組織があるのよ!
お金を払って依頼すれば…強いハンターが怪物をやっつけてくれるの!
私はそんなハンターに憧れて…」
熱弁を振るっていた少女は、眉間に深い深いシワを寄せて睨んでくる父の視線に気付いた。
「え…と、だから…そのハンターって素敵だなぁ…と、ね?旅の貴方もハンターさんじゃないの?
だって凄い強かったし!」
父の視線から免れようと話題を微妙に逸らす少女。
「いや。ハンターではない。」
「サイクロプスを1人で倒せるくらい強いのに?
じゃあ、まさか騎士様とか⁈」
少女の質問タイムが始まった。
(23話へ続く)