【KADODE】105話 リージにとって村人全員が親戚のような…
第105話
リージにとって村人全員が親戚のような存在だった。
…だから、分かってしまうのだ。
見慣れた家々の…
変わり果てた瓦礫の下から覗く手足の主を。
ある者は下敷きに…ある者は黒炭と化し…
皆…つい数日前まで元気に言葉を交わしていた者達だ。
街へ行くリージ達を見送りしてくれた。
土産を買ってこいと軽口も言っていた…
こんな一瞬で、もう二度と言葉を交わすことが出来なくなったのだ。
一歩、また一歩進む度にリージにその悲痛がのしかかる。
「…う、…う…みんな…」
うずくまり、泣きじゃくりたくなる。
そんなリージの歩みが止まる度にルピナスは背後を振り返り様子を伺う。
ルピナスの言っていた「歩けるか?」の、
真の意味を噛みしめるリージだった。
(106話へ続く)