【KADODE】34話 リージが作ってくれた携帯食を…
第34話
リージが作ってくれた携帯食を、カドデは凝視している。
口からは涎も出ている。
主プログラムにあるまじき姿だ…
「食べたいのか…?」
ルピナスは干し肉をカドデに差し出してみる。
カドデは目を輝かせて、コクコク頷き干し肉に齧り付く。
…と、いってもやはり感触は無い。
この夢想世界では、いはば幽霊状態のカドデは物理的に干渉することが出来ない…
それでも皆と食事を食べているフリをしている。
焚き火を皆で囲み、リーサ達の会話に相槌を打つカドデは…
とても楽しそうだ。
もし…リーサ達がカドデを見ることが出来たら…きっとカドデはすぐに彼らと打ち解けられるのだろうな…と、ある筈も無い仮定を考えていたルピナスに…
「ルピナスさん、夜間の見張りは3人交代で大丈夫ですか?」
リージがふと声をかけてくる。
…そうか、人間は睡眠を取らないとならなかったな…
「…いや、2人は寝てて構わない。
自分が夜間の見張りをする」
「え?ルピナスさん!
それじゃ、ルピナスさんが寝れないじゃない⁈」
「構わない」
機械兵になってから…睡眠など取った事も無いし、今でも睡魔は訪れないからだが…
ルピナスの素性など知らない彼らは全力で反対する。
「無理しないで下さい!ルピナスさんが倒れたら大変です!」
しっかり者リージによって強引に3交代用の予定が組まれた。
(35話へ続く)