【KADODE】36話 失敗に頭を抱えるリーサと…
第36話
失敗に頭を抱えるリーサとイビキをかいているカドデをよそに、起床してすぐにリージは朝食の準備に取り掛かっていた。
「ほら!リーサ、顔拭いて歯磨きもするんだぞ!」
焚き火に昨日の残りのスープを温めなおし、パンに熱したベーコンを乗せる。
食事にも少しは慣れてきたルピナスだ。
味覚とは…心を豊かにするものなのだと感じた。
木の葉は朝日を浴びて輝き、空は日が昇るほど青く透き通っていく。
この世界は美しかった。
隣でまだ寝ぼけ眼でいる、この…カドデが創った世界は…
「今日、1日歩いて野宿したら…明日午前中には大都市アクトスへ到着しそうですね!」
「おばあちゃん情報によれば、この先は森を抜けて平坦な土地になるっていうし…
ん〜!順調過ぎる〜」
「リージ!」
「はぁい…気は抜きません〜」
「今日の野宿でも失敗したら、伝書鳩で父さんに報せるからな!」
「リージ厳しいよ〜」
相変わらず賑やかな2人だ。
荷物をまとめ、歩きだす。
先日いた村の、森の中とは景色が変わりそうだ。
異変を起こしているかもしれない世界には思え無いほど、穏やかな大地が続く。
(37話へ続く)