【KADODE】37話 太陽が頭上に昇り…
第37話
太陽が頭上に昇り、ポカポカと眠気を誘う陽気だ。
現にリーサとカドデは瞼がトロリと下がり、虚ろな様子で歩いている。
そろそろ軽い昼食にしようかと、リージは寛ぐのに良さそうな場所を探している。
そんな時…
かなり数も少なくなり始めていた彼方の雑木林から大きな音が聞こえてきた。
木々を激しく揺らし、葉を舞わせて飛び立つ何かが見えた。
「何あれ?…鳥?」
「…いや…鳥にしては大きい!
…あれは…ワイバーンかもしれない!」
リージが本を片手に確認している横で
リーサは歓喜の声を上げる。
「ワイバーン⁈ 初めて見た〜!
小型の竜の亜種だって聞いたけど…けっこう大きいね!
くぅぅ…腕が鳴る〜♫」
ワイバーンに向かって走り出そうとするリーサに片手に持ってた本の一撃を加えるリージ。
「痛ぁぁ」
「リーサ!自分から危険に飛び込んでどうするんだ⁈
まだ距離はある!こっちへ向かって来るようなら、応戦だ。
それ以外なら…」
リージのお説教が終わらない間に
リーサが声を上げる。
「待って!ワイバーンの近くに人がいるよ!」
ワイバーンと呼ぶその怪物は激しく翼を動かし、地上の何かに威嚇していた。
(38話へ続く)