【KADODE】27話「僕らの上の兄として旅券を発行して貰いましょう」
第27話
「そうね!それなら村長も発行してくれるだろうし!」
村長とは、奥方の実父であるらしい。多少の事なら大目に見てくれるという話だ。
「良かったね♫
仲間も増えて、冒険って感じが出てきた〜♫」
カドデはピョンピョン飛び跳ねて喜んでいた。
しかし…
先程から妙な違和感があった。
決定的な違和感…
我ながら、この村に到着して…今頃気付くとは
鈍い。
「…カドデ。
…お前…お前は、他の人間からお前の姿…見えていないのか?」
突拍子も無いことだ。
しかし、主プログラムたるこのカドデには不可能では無いはずだ。
「うん。
カドデはプログラムだから…皆を陰からそっと守るのが役目だから…」
確かに当然の仕様だ。
ここにいる人間達は、今、自分らが夢を見てるとは思ってもみないのだから…
主プログラムが姿を見せる訳にはいかないだろう。
けれどカドデは、自らの方を決して見ない人間達に必死に話し掛けている。
嬉しそうに…楽しそうに…
一緒に会話の輪の中に居るつもりで…
「お茶美味しい?」
先程のカドデの言葉を思い出す。
カドデは…
一応、人型のようなイメージを作り上げているが…
人間のように飲食をしている夢を持ち合わせてはいないようだ。
「カドデ…人間は好きか?」
「うん!大好き!」
旅の仲間がまた出来たと、カドデは喜んでリーサやリージの後を付いて回る。
彼らはカドデの存在など知らないだろうに…
ルピナスはほんの少し…心臓と呼ぶ箇所がツキンと悲しく痛んだ。
(28話へ続く)