【KADODE】24話「国王と願いを叶える悪魔…」
第24話
「国王と願いを叶える悪魔か…」
「旅の方?王様の事が気になるなら…
王都へ行ってはどうですか?
きっと沢山人がいるし、情報も集められると思うんです!」
何故か興奮気味に、先程までシュンとしていた団長の娘がまた前のめりに話す。
「…そうだな。
怪物の出没や、願いを叶える悪魔の事…
もう少し調査してみようか。」
カドデを見ると元気が無かった。
共に調べて欲しいと言っていたにもかかわらず、妙に消極的な印象だった…
「…しかし、旅の方。
ここから王都までは…かなりの距離がありますぞ?
先ずは四大都市の一つに行くのがいいのでは…?
それなら、ここから2日ほど歩けば到着するでしょう。」
「ふむ、なるほど…
では、そうしょうか。長い旅になるなら準備も必要だしな。」
「でも、目的地も遠いですが…
各村や街へ入るには、旅券の提示が必要なのですよ!
この村でもそうですが、旅券の無い者は大概犯罪者まがいと疑われちゃいます!」
村の少女が気の毒そうに眉を下げる。
「…そうか。
パスポートみたいなものか。」
事前に偽造しておけば良かったか…
いや、いざとなったら潜入を試みるか。
少し考えを巡らせていたルピナスに村の少女は、意を決したように顔を上げルピナスを見つめた。
「私が旅の方と一緒に同行しましょうか?」
凛とした、良く通る声で少女は言い放った。
同時に自警団団長家に集まっていた村人衆が凍り付く。
「リーサ…お前…またなんと言う事を言う⁈」
熊のようにガタイの良い自警団団長が静かに怒りのオーラを燃やす。
(25話へ続く)