【KADODE】25話「お前は…まだ冒険者なぞになる夢でも見てるのか⁈」
第25話
畑仕事と武術鍛錬によって鍛えられたガッシリとした体躯を持つ自衛団団長はその肉体の迫力のまま声を発する。
「リーサ!冒険者なぞになる事は許さんぞ!
女らしく家で花嫁修行をしたらどうだ!」
「父さんは古いのよ、考え方が!
女だって大切な人を守る為に武器を取って戦いたいわ!
…それに私は…もっと外の世界を見てみたい。
自分の可能性を知りたいのよ!」
話しはいつの間にか、親子喧嘩と化して行った。
ルピナスはただ怪物の話しを聞きたいだけだった筈だ、こんな長く滞在するつもりも無かった筈が…
「…うぅ…カドデ足が痺れちゃったよぅ〜」
「…そうだな…必要な話しは粗方聞いたし、このまま退出するか?」
壮絶な親子バトルの喧騒をぬって、ルピナスとカドデは脱出の打ち合わせを思案していた。
「アナタもリーサも!お客様の前なのですよ!
少し落ち着いて…」
必死な奥方の説得も2人には聞こえないらしい。
…と、そんな時。
奥の部屋から、少年が早足に近付いて来た。
「隣の部屋から話しを聞いてれば…
まったく。
父さんもリーサも仕方ないな!」
どうやら、この少年は親族らしい。
団長の娘…リーサとよく似た蜂蜜色の髪と、
父とは正反対な華奢な体つき。
どちらかと言えば文系だ。
「父さん、リーサは本気だよ。
今回の件が無くても…いずれ家を飛び出してだと思う。
単独で飛び出して…それこそ今度こそサイクロプスに殺されたら悲惨だろう?」
「⁈ リージ!なんて事言うんだ!」
「可能性は高いよ。
それなら…腕は確からしい、旅の方と一緒の方がいいんじゃないかな?」
(26話へ続く)