【KADODE】19話その村は小さな街道沿いにぽつんと
第19話
その村は街道沿いにぽつんとあった。
小さな平屋の家屋が数十軒連なるだけの
集落だ。
しかし…
集落の規模に反して、集落を覆うように
堅固な防壁がそびえていた。
「さほど裕福な村とは思えないが…
妙に防壁だけは立派だな…?」
「今は…どこの村も工面して防壁作りを強化してるの。
怪物が襲って来たら大変なの…」
カドデは寂しそうに、悔しそうに唇を噛む。
「カドデがもっと強ければ…
怪物なんてこの世界から撃退するのに」
「…地道に調査していくしかないな」
村の防壁門の扉に手をかけた時、
「旅の方。勝手に村へ入られては困る。
…旅券を見せて貰おうか?」
声がした時には、武装した数人に囲まれていた。
若い村の青年衆だろうか…
しかし、武器を構える姿は慣れて無く
慣れない、覚束ない立ち姿だ。
自分の敵には到底なり得ない。
人対人の格闘は専門外だが、この程度の人数と、戦闘経験のほぼ無いような人間に負ける気はしない。
勿論…ここで大立ち回りを繰り広げる気も無いが。
「旅券…済まない。その手の物は持ち合わせていない。
しかし、あなた方への害意も無い。
この近辺で出没する怪物…について、話しを聞きたいだけなのだ。」
(第20話へ続く)