【KADODE】3話、ふと…青年は自分の事を振り返る
【第3話】
一名…
ふと、青年は自分の事を振り返る。
“果たして自分は一名と言えるのか?”
既にほぼ人間では無いのに…
かろうじて人のシルエットに見えなくもない武骨な機械仕様の己の体を見る。
…自分は脳の3分の1しか人間では無い…
…いや、それはもう人間とは呼べ無いのか?
大戦中、各国は躍起になって兵器開発に力を入れていた。
莫大な威力のあるミサイル砲。
簡単に数万人を死へ追いやる細菌兵器。
そしてAIで動く機械兵…
恐ろしい破壊力を持つそれらの兵器は
敵地を破壊し尽くしていった。
腕前を競うかのように、破壊し合う兵器と兵器…
全てを破壊し、命を蹂躙し…
最後に残った最強の兵器が…
“自分” だった。
毒も、砲弾にもダメージを与えられることが無い最高の技術をもって作られた特殊な金属製の体。
人間の脳が部分的に働くことで、AIだけでは成し得ない臨機応変さや、勘などによる行動力が敵国に致命を与えていき…
最強の生体機械兵と呼ばれた自分は…
けれど、
終戦ともなれば負の遺産の何程でもなく。用済みとなった禍々しい兵器として、活動停止を余儀無く下された。
(4話へ続く)