【KADODE】4話、そんな自分が再び引っ張り出され…
【第4話】
そんな自分が再び引っ張り出され、命令を下されたのが…
“夢想世界へ行く人類(本体である脳)を永遠に守護せよ”
との任務だった。
以後、数百年…
外界から隔離された、この巨大シェルターの中で一人、守護の任に就いていた。
命令が自分の存在意義の全て…
余計な思考など今までは芽吹く筈も無かった。
なのに、
この数年…人間だったかつてのように…
取り留めもない事を考えている自分に気付く。
“これは、自我というものだろうか?”
まさか、捨てられた自分に再度宿るものだろうか…
生体というものは、未知なる可能性があるのかもしれない。唯一の生体である脳は、
感情を司る部所は取り除かれている。
戦闘に必要な箇所だけが残された筈だ。
それでも脳は自分の“自我”を取り戻すべく進化したのだろうか?
心など無い筈の体内の奥底に…
小さな芽が息吹く気がした。
“人間に戻れる?”
下らない感傷に似た思考が頭を過る。
人間の脳とは本当に未知だ。
それとも心とは…
機械にすら生まれるものなのか…?
更に混迷する感傷を全力で打ち消し
溜め息を吐いた。
「ああ、こんな仕草も人間に似てるな…」
そんな思考が再度過ぎり、青年は苦笑する。
(5話へ続く)