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!!!5秒以上1分未満な物語!!!

ブログ小説第2弾です!今回は主人公がいますwずっと描きたかったテーマだったので…上手く表現できれば…と思います!

57話【KADODE】ギルド支部の建物の中…

第57話

 

国家が組織作りを後押ししたギルド…その4ヶ所あるうちの一つ、貿易都市アクトスのギルド支部

 

その建物の中もまた、重厚であった。

さながら、都市の役所か大銀行並みの造りで、趣きのある窓口は十数ヶ所横に並び、

エントランスもまた広く造られている。

 

そのエントランスの正面壁には、横長の大きな掲示板が掲げられていた。

 

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掲示板は…言う迄もなく、ギルドに所属している冒険者が依頼を確認する為のものだ。

各依頼の種類、難易度によってカテゴリに分けられて貼り出されている。

 

冒険者は先ず、この掲示板の依頼を見て窓口で応募するのですよ。

窓口で審査が通れば、一部前金を得て出立します。」

 

「…なるほど、審査かぁ…

あ、でも…そもそも、どうやって冒険者認定できるんですか?」

 

「窓口の一番奥…そこに冒険者申請口があるんです。

そこで、必要な書類を書き…書類審査をします。

身の上が確認でき、問題が無いようなら二次審査…次は能力審査をします。

要は、実力ですね。

 

そこで合格できたら、晴れてギルド認定の冒険者になれ、ギルドが受けた依頼の仕事を請け負う事ができるんです。」

 

職員の熱心な説明に、リーサのみならずリージも真剣に聞き入る。

 

「…なるほど。冒険者も腕っぷしだけのならず者って訳では無いんですね」

 

 

 

(58話へ続く)

 

56話【KADODE】「さぁ、ここがギルドです!」

第56話

 

「さぁ、ここがそのギルドですよ!」

 

職員の指す建物は、がっしりとしたレンガ作りの二階建ての建物だった。

 

この都市の中では、三階建ても珍しく無いが、建物面積も大きく、重厚な造りである為、この都市の中にあっても決して見劣りするものでは無かった。

 

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ただし…都市の中の銀行や役所と違って、一般人…特に女性や年寄り、子供の建物への出入りはかなり少なく、反対に厳つい兵士と思しきグループが出入りする異様な光景が、この建物へのイメージを作り出していた。

 

「うわぁ…強そうな戦士さん達ばかりだぁ!」

 

リーサは再び顔を紅潮させる。

 

「見て!あの大剣…あんな大きな剣を背負えるなんて…!!」

 

「り、リーサ!あんまりキョロキョロするなよ!恥ずかしい…」

 

リージはリーサとは別の意味で顔を赤くする。

 

リーサは放っておけば、黄色い声を出してサイン色紙を冒険者へ差し出し兼ねない。

 

「…プッ…、…、ど、どうです?

建物の中も見学してみたら」

 

職員はリーサを見ながら吹き出すのを必死で堪えているようだ。

 

「きゃぁぁ♫いいんですか⁈ 中も見たい!」

 

完全にお上りさん(もしくはアイドルの追っかけ)になっているリーサを…

リージはさりげなく距離を取り他人を気取ろうとする。

 

顔かたちがそっくりなので不可避ではあるが。

 

 

(57話へ続く)

 

55話【KADODE】私くらいの年でもなれるって事⁈

第55話

 

リーサのおさげ髪がピンと跳ね上がった。

 

「私くらいの年でもなれるって事⁈ 」

 

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しかし職員はやんわりと言う。

 

「ええ…ですが、本当に希なケースですけどね。

親が既に冒険者に近い職業をしてたりとか、身寄りが無く幼い頃から戦闘訓練を受けていた孤児とか…」

 

「…うぅ…」

 

「大概は憧れはあっても里のご両親の反対で勝手にはなれません」

 

「うぅ…ぅぅ…」

 

リーサのおさげ髪シナシナと垂れ下がる。

 

「ほらな、リーサ。

皆、周囲が心配して反対するものなんだ。

ウチの親だけが特別過保護な訳じゃない。」

 

「…分かってるよ…」

 

しょんぼりするリーサを見て職員もどうにか元気付けようと語る。

 

「…ですが、立派な成人となり、心も肉体も鍛えていれば…周囲の見る目も変わってくるのでは無いですか?

 

冒険者に限らず、城の兵士なども人気の職業なんですよ!」

 

「…そっか…そうよね!

冒険者に限らず、私の未来は色々可能性あるって事よね!」

 

「まぁね、ホラ!その為の街の見学だろ」

 

「うん!冒険者になる事だって…まだ諦めては無いんだから!

ギルドで色々、見学するぞ〜!」

 

職員がニッコリと微笑み、指を指す。

 

「さぁ、ここがギルドです!

国王から拝命した…組織。未知なる事案への探査や討伐、民間人の依頼への窓口。

 

まぁ…ザックリ言えば何でも屋窓口…ですね!」

 

 

(56話へ続く)

54話【KADODE】何かお探しですか?

第54話

 

「何かお探しですか?」

 

男性がゆったりと話し掛けてきた。

 

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「あ!はい。

私達…ギルドの建物を探してるんです。

ほら、あの…怪物退治とかを依頼したり受けたりする…」

 

一般人は怪物退治などに疎いのかと、リーサは必死で身振り手振り使って説明しようとするも…

 

「おやおや、お嬢さん方…ギルドに用があるのですか?」

 

「え⁈ オジ…いえ、お兄さん?ギルドを知ってるんですか?」

 

「知ってるも何も…私はそこの職員でして。

今、昼食用の買い出しに出てた所なんですよ」

 

「うわぁ!偶然!

あ、あの!ギルドまで案内お願いできますか?」

 

「勿論ですよ。何せ行く建物は一緒なのですから。

…しかし…年若いお嬢さん達がギルドに何用で?

…まさか怪物退治のご依頼ですか?」

 

「い、いえ…その…見学を…」

 

職員の男性に質問され、リーサは急に縮こまる。

 

「ああ、見学ですか。

ええ、ええ。冒険者に憧れる子供達は多いんです。」

 

「う…子供…」

 

「おや、失礼!お嬢さんくらいの年頃なら…本気で目指す方も多いですけどね。」

 

「その…何才くらいになったら…冒険者になれるものなんですか?」

 

職員の男性は優しく微笑む。

 

「お嬢さんくらいの年頃の人でも、訓練して既に冒険者として活躍してる人もいますよ。」

 

そんな職員の言葉にリーサのおさげ髪は跳ね飛んだ。

 

「私でも…もうなれるって事…⁈」

 

 

(55話へ続く)

53話【KADODE】とにかく一行はギルドを目指す…

第53話

 

とにかく一行はギルドを目指す。

 

しかし、広大な都市をただ歩き回るだけでは、見つけようが無い。

そこで、近くにいた乗合馬車の職員に道順を聞く。

 

「ギルド…ねぇ。ああ、勿論聞いた事はあるよ。

ええと…南の方の外れにあったと思ったなぁ。」

 

「南の方、ですね!ありがとうございます!」

 

「そっちの方行ったらまた誰かに聞いてみるといい」

 

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都市に住んでいる人間とて、全てを把握している訳では無いらしい。

一行は、十字に交差する大通りを南へ向けて歩きだす。

 

「へぇ…街門からの大通りは店屋さんが凄い並んでたけど…

こっちの方は倉庫や事務所?みたいな建物が多いみたい!」

 

「買い物や観光客向きの店屋は少ないって事か…」

 

「あ!見て見て!あの人…あの格好!冒険者さんっぽくない⁈」

 

「ああ、そう見えるね!あの人に聞いてみようか…」

 

「ああぁ〜!どっか角曲がってっちゃった…

他の誰か…いないかなぁ?」

 

リーサがキョロキョロしていると背後から声をかけられた。

 

「何かお探しですか?」

 

国政を司る文官の装束に似た出で立ちの中年に差し掛かった気の良さそうな男性が声を掛けてきた。

 

 

(54話へ続く)

52話【KADODE】大都市の雰囲気に飲まれていたリーサも…

第52話

 

大都市の雰囲気に飲まれていたリーサも、ようやく落ち着きを取り戻し、この街へ来た目的を振り返る。

 

「ええと、先ずはこの街にあるギルドへの見学ね!

同時に怪物についての情報も聞いてみる…と!」

 

「国王についての情報もだ。」

 

ルピナスの目つきも鋭くなる。

 

「…けど、王様について…なんて、

そう易々と答えてくれる人はいるかな?

下手すれば、不敬罪になるかもしれない…

まして、国が統括してるギルドの職員が

変な噂なんて言う筈ないかと思うよ」

 

リージはどんな時でも冷静だ。

 

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「ん〜…冒険者さんなら…少しくらいは話してくれそうだけどなぁ…

せめて職員さんの目の無い所でなら…」

 

「…酒場とか覗くか?

酒の勢いでなら、噂話くらい話してくれるかも」

 

「さ、酒場⁈

冒険には付き物だよね⁈ 憧れてたの〜!」

 

リーサは目を輝かせるが…

 

「でも、僕達はまだ未成年だから入店拒否されるかもだなぁ」

 

「え〜!私、そんなお子様に見える⁈」

 

「実際、お子様だろ?」

 

顔を真っ赤にしてリーサは膨れるが…

ルピナスは一時思案して。

 

「酒場には自分だけ行こう。

元々これは、自分の事情だ。

2人はその間、土産でも見ているといい。」

 

 

(53話へ続く)

 

51話【KADODE】肩の上ではしゃいでいるカドデ…

第51話

 

ルピナスの肩の上ではしゃいでいるカドデなど…

リーサとリージは知るすべもないだろう。

 

 

そうで無くとも、店先に並んでいる見た事も無いような品の数々に目を奪われているのだ。

 

「お嬢ちゃん、どうだい?この髪飾り!お土産にも人気だよ!」

 

「うわぁ…綺麗!母さんのお土産に買ってこうかな?」

 

ともすれば、ルピナスの存在すら忘れかけている程だ。

 

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「…とと…!リーサ!買い物に夢中になってる場合じゃないぞ。

先ずは皆の待ち合わせ場所を決めないと…」

 

リージはなんとか冷静を取り戻し、リーサを諌める。

 

「はぅ⁈

そ、そうだったね!

ルピナスさんともはぐれたら大変だよね!」

 

「大通りをもう少し行った先…広場のようになってないか?

その辺待ち合わせにしよう」

 

人を掻き分けつつ、一行は大通りを進み開けた場所に着いた。

 

そこは大通りが十字に通る広い敷地で、馬車を停車させたり、旋回させたりする為の道や、また貸し馬車屋などがあった。

 

周りを道に囲まれた形の中央には、大きな噴水が鎮座していて、その付近には歩き疲れた人々が休憩できるようなベンチがいくつも並ぶ、公園のような空間になっていた。

 

「ここなら、落ち着けるし噴水も目立つから待ち合わせ場所には良いよね♫」

 

「これからどうする?」

 

カドデを肩から降ろし、噴水で遊ばせながらルピナスは2人に問う。

 

「勿論!ギルドへ行くよ!」

 

 

(52話へ続く)