【KADODE】第11話その存在は異形だった
第11話
少女を襲い追い迫って来た存在は…
異形の者だった。
人間ではない。
だが、獣ですらない…
3メートルに届くほどの巨体
粗末な端切れを体に纏い、屈強なその腕には巨大な棍棒が握られていた。
一見は伝記等に登場する巨人族のようだが…
小さめな頭には異質な特徴があった。
顔に連なる筈の二つ目は無く、代わりに一際大きく血走った目、一つが少女を捉えている。
「人間の亜種?戦時中なら…生体実験で
作られていてもおかしくないだろうが…
ここは夢想世界だ。
人間を殲滅する為の存在は必要無いだろうに…」
やはり…何かこの世界に異変が出てきているのだろう。
一つ目の異形は目の前の少女を叩き潰さんと、棍棒を思い切り振り上げる。
慄いた少女は足が縺れ地面に膝を突く…
少女を助ける使命は無いが…
少女は自分にとって敵では無い以上、可能な限り逃走の助力をしようと前に進み出んとした時…
上空から、甲高い子供の声が聞こえた。
子供の声はみるみる地上へ近付き、
そして姿を見せたと同時に地面へ着地…
否、着地に失敗し転がり落ちる。
「良い子をイジメる怪物め〜!
正義の味方!カドデちゃんが成敗してやる〜!」
空から降ってきた子供は、
ヨロヨロしながらも異形の一つ目の前に立ち塞がる。
(12話へ続く)