【KADODE】20話旅券が無い…⁈
第20話
「旅券が無い…⁈ 賊の類いなんじゃないか?」
「出身の村は?何故ここに?」
村人は一様に警戒を強め騒つく。
なるほど…賊や怪物を恐れ警戒を強化か。
それだけ周囲の治安が悪いということだ。
「仕方ない。騒ぎを大きくするつもりもない。
ここは一旦引いて、旅券とやらの入手を模索したほうが…」
言い掛けた時、集落の中から少女が駆けて来た。
「ま、待って!お父さん、その人…私の命の恩人よ!
森の中で出くわしたサイクロプスに追われてたところを助けてくれたの!」
「何だと?お前…またコッソリと村を抜け出して森へ入ったのか!」
「ご、ごめんなさい…どうしても…
自分が鍛えた腕前を試してみたくて…
…でも、私なんてまだまだ怪物に敵わないと痛感したの。
そこの方が助けてくれなかったら…私…」
「何ということだ…
あれ程危険だと…
しかし…
そこの方…大変失礼した。
娘を助けて頂き…感謝する」
「…いや。」
「…少し訳あり旅のお方のようですが…
娘の命の恩人を門前払いする訳にもいきますまい。」
「えぇ、アナタそれにこの方…精悍なお顔付きですし、賊の類いには見えませんわ。
お茶でも召し上がって頂きましょう」
少女と共に門まで来ていた奥方らしき女性も賛同する。
「ルピナス兄ちゃ、良かったね!
優しい村人達みたいだよ♫
美味しいお茶かな?楽しみ!」
「茶か…飲食など、自分に出来るか分からないな」
「機械兵の時は食べられなかったの?」
「機械が飯を食う訳無いだろう?」
「そっかぁ…じゃあ楽しみだね!
きっとこの世界なら、ご飯も食べられるよ♫」
(21話へ続く)