【KADODE】15話異形の怪物倒れる
第15話
異形の怪物は土煙と共に地面に抱擁される。
「こちらの世界でも運動能力は多少は活きているか…」
とはいえ、現状の体は機械仕様ではない。
腕力や極端な素早さは…人間仕様だ。
「異形の怪物とやらは…他にも存在するのか?」
先程の一つ目以上の強力な異形が現れたら…簡単な勝利とはいかないだろう。
いや、今はそれよりも…
「おい、意識はあるか?」
倒れているカドデと名乗る子供の側に行く。
かなりの深手を負っていた筈だ。
…こんな時、戦闘に特化した自分が少し歯痒くなる。
治療等の術など…一切学ばなかったのだ。
放たれたミサイルの如く…
戦地にて敵を殲滅するか、己が倒されるか…
それ以外の活動許可は無かった。
(カドデと名乗る子供に少しでも事情を聞きたかったが…無理か…)
子供の命は、もう潰えるだろうと
側まで行ってみると…
大量に出血し傷ついていた体が急速に蘇生されている。
まるで映像の逆再生を観ているように…
(やはり…この子供…)
この世界は夢想空間だが、人の生死まで現実を忠実に再現されているはずだ。
生身の人間が傷を負えば…このような短時間で回復される設定は無いはず…
「うぅ…痛かったよぅ…」
子供がむくりと起きる。
半泣きだが、先程負った傷は蘇生されているようだった。
(16話へ続く)