UA-125421985-1

!!!5秒以上1分未満な物語!!!

ブログ小説第2弾です!今回は主人公がいますwずっと描きたかったテーマだったので…上手く表現できれば…と思います!

【KADODE】92話 僕の故郷の村は…

第92話

 

僕の故郷の村はなだらかな小高い丘の上にあった。

 

明るい森林に囲まれていて、村人は猟をしたり、薪を作って生計を立てていた。

 

さほど豊かでは無かったけれど…

村の外れの小ぶりな畑とか、果樹園とか…

自給自足は十分にできていて、

僕らは皆、充実していた。

 

f:id:gouzo:20190726170455j:image

 

けれど、今は…

 

身体中燻されるのでは無いかと思う程の、高温の黒煙…

目を僅かに開けて見れば…

 

明るい緑にさざ波の様に覆われていた、静かな村は…

 

激しい炎と悪魔の様に蠢く黒煙に埋め尽くされていた。

 

「…全滅…だ…

村中…何も…何も残って無い…」

 

抑え無ければならないのに…

つい、震える唇が言葉を紡いでしまった。

 

必死に踏ん張っていた気持ちが決壊すれば、

涙が止めどなく溢れてくる。

手で口を抑え、必死に嗚咽を堪えるのが精一杯だった。

 

 

(93話へ続く)