【KADODE】90話 走っていたルピナスの足がふいに…
第90話
走っていたルピナスの足がふいに止まった僅かな振動で、リージは目覚めた。
「え…、あ…ここは?ルピナスさん…?」
リージの問いに、息を飲む気配で返事をしてるようだった。
リージが背負われている、ルピナスの肩越しから前を向くと…
小高い丘の頂上付近から大量の黒煙と真っ赤な炎が見えた。
まだ夜明け前にもかかわらず、その黒煙は夜の闇より暗く…
そして炎は血の色のように燃えていた。
「…そんな…
僕が最初に見かけた時よりも炎の勢いが激しい…」
ルピナスと合流し、少しだけ落ち着きを取り戻していたリージだったが…
再び動揺が走る。
見る間に指先は震えだし、唇は言葉を紡げなくなる。
…いや、口走ってはいけない…
…もう、手遅れだった…なんて
口走っては…
(91話へ続く)