【KADODE】21話怪物から逃げて来た少女の家…
第21話
怪物から逃げて来た少女の家…
少女の父は自警団の団長だという。
家に招かれ話しを聞けるようだ。
自警団団長…とはいえ、元はただの村人。
その家も質素な木材を使った小規模な平屋の家だった。
大分年季を感じる木造家屋だが、しっかりと手入れが行き届き部屋の中も小綺麗に整っている。
「うわぁ…茶色ぃぉ茶だぁ!もしかしてこれ、紅茶かな?甘ぃのかな⁈」
カドデが目をキラキラさせながら隣でソワソワしている。
「高価な茶葉ではありませんので…お口に合うかどうか…」
「いや。心遣いに感謝する。」
言い慣れない対話に口の中がむず痒い心地だ。
「ルピ兄ちゃ!早く飲んでみて!」
茶器からは、程よい湯気が上がり心地良い熱さが手に伝わってくる。
熱さ…
こんな感覚は…どれ程振りだろう?
茶器を顔へ近付ければ、肌に湯気が当たる感覚と…懐かしい、匂いという感覚が呼び覚まされた。
「良い匂いだ…」
「わぁ…♫」
「どうぞ召し上がって下さい!」
先程の少女もニコニコと近くに座り、自分に注目していた。
熱さや匂い…
機械兵である現実世界では、感覚は存在しない。
全ては数値とデータ化され、身体に及んでいる状況が表示されるだけだ。
茶葉の優しい匂いと共に
また、遥か昔の記憶がフラッシュバックする。
ミルクの入った甘いお茶…
母…らしき人物がよく淹れてくれた記憶があった。
茶器を口元へ近づけ、恐る恐る一口啜る。
また、古い記憶が蘇る。
ミルクの入った甘いお茶…
そうだ、あれは…ミルクティーといったか…
(22話へ続く)