【KADODE】第8話夢想世界へ…
第8話
「夢想世界へ行ってみたい」…など
突飛な思考が頭を過ぎる。
開発者の脳を夢から覚まし
プログラムを点検して貰えば済む事だ。
「けれど、その前に少しだけ観察しに行ってもいいのでは」
興味という芽が更に増す
「修正が本当に必要かどうか、確認しに行くだけ…」
「さほど重篤なトラブルで無いのなら…
寧ろ開発者を無理矢理夢から起こすのは
リスクがある…」
興味という芽は、今や虚無なる鋼の身体を
突き破り緑の葉を茂らせるとばかりに
育つ
その芽に引かれ
プログラム介入に挑む。
己は夢想空間の住人として
登録されていない。
侵入者だ。
上手くフェイクし、紛れ込み…
主プログラムが察知する前に離脱する。
“夢想プログラム”
人類史上全ての技術を注ぎ作られた
人工知能が作り出す虚構
夢想世界を構築し、人間の精神を
そこへ導く。
人間の精神以外は全て
この人工知能が作り出す幻だ。
夢想世界内の謂わば神と位置する管理者…
何故バクは発生したのか?
幾度も試行し、イレギュラーなど皆無であるはずだ。
まして人工知能に私欲など存在もしない。
致命とも呼べる世界大戦を教訓に
平和を願う世界を構築するプログラム…
夢想世界プロジェクト
人工知能プログラム名…KADODE
彼…は、今…
何を思うのか?
(9話へ続く)