【KADODE】第9話未だ理解不能な己の思いに引かれ…
第9話
未だ理解不能な己の思いに引かれ、
夢想世界へ降り立つ。
極力人の少ない郊外がいいだろう。
この世界の言語や文化…服装などは予め
最低限は読み取ったが…
アクセス可能な隙が極端に少なかった。
KADODEは人類の英知を集め作られたシステムだ。
外界からの干渉にも保護機能能力は高く
優秀程度の技術者ではシステムに近寄る事も出来ないだろう。
KADODEに次ぐ程の機能を内蔵する己のコンピュータでさえ、恐らくシステムに介入できる時間など1分程度だろう…
シールドをすり抜け、トラップを回避し
暗号を予想し…そして超高度なKADODEの
監視に発見される前に去る…
別に自分は敵ではないし、
最悪KADODEの侵入者警報が発令されたとしても…
人類にとって致命的な事にはならないだろう。
…だが、それでは開発技術者は起こされるだろうし、一時的に夢想も停止してしまう可能性もある…
まだ大事にはしたくない。
モニターに映し出された光景がバグなのか
どうか…
今はまだ裏付けの段階だ。
…そして何より
自分の中の興味が世界を覗きたいと
個人的な不可思議な思いへ駆り立てている
後ろめたさがあった。
本当に
こんな己の感情は初めてだ…
(10話へ続く)