【KADODE】102話 未だ膝が震え、足元が覚束ないが…
第102話
未だ膝が震え、足元が覚束ないが…
リージはなんとか立ち上がり周囲を見渡した。
家々は炎が燻り黒煙を上げたままだ。
風は吹いていないし、これ以上燃え広がらないようだが…
その炎を背景に火よりも赤い血を流し三匹のワイバーンが屠られている。
ルピナスはそんな光景を見向きもせず、別の事に意識を集中させていた。
「ルピナスさん…?どうしたんですか?」
まさかまだワイバーンがいるのだろうか?
…それとも別の怪物?
リージの背筋に悪寒が走る
恐怖で震え出しそうになる自分を必死で叱咤し、ルピナスの反応を待つ。
「…人間だ」
「…え?…」
ルピナスの突飛な言動に首を傾げる。
「…声が聞こえる」
追加されたルピナスの言葉に、リージの胸はドクンと鼓動を上げる。
(103話へ続く)