【KADODE】第10話幾重にも張り巡らせた防御システムを突破し夢想世界へ
第10話
幾重にも張り巡らされた防御システムを突破し、いよいよ夢想世界へ降り立つ。
「警報システムに感知されるまで…1分少々が限界か…」
夢想世界は…
現在から数百年前ほど遡る時代背景と酷似していた。
鉄臭さは、ほぼ感じられず…
木製を中心とした文化に留まっている様子だ。
「戦争や暴動が起きている様子は感じられないが…」
なぜが漠然と殺気が散在しているような気がする。
「盗賊の類が森に潜んでいるのか?」
遠方から、辛うじて小さな集落を一望できる小高い丘に降り立ったが、
集落とは反対に位置する小規模な森へ
向かうことにする。
「時間が無いな…せめて殺気の正体だけでも
確認出来ればいいが…」
そうして足早に移動しようとした矢先…
すぐ近くで人間…恐らく年若い女性の叫びを耳にする。
「襲われているのか?…やはり治安が悪くなっているのか…?」
自分には滞在時間が無く、叫びの主を救済する時間まで確保出来ないかもしれないが…
とにかく現場まで確認に行く。
叫びの主…少女が走ってこちら側までやって来た。
救済を懇願されては厄介だと…
本来であれば、隠れ様子を探るところだったが…
逃げる少女を追う存在に驚き、足が止まる。
それは…
ならず者や盗賊の類ではなく
まして、武装した軍隊でもない。
獣…
それも狼や熊など現存している種ではない。
否…
獣ですらない存在…
(11話へ続く)