【KADODE】6話、人類の守護を任されている自分は…
【第6話】
人類の守護を任されている自分…
それは、ほぼ皆無であろう現実世界のシェルターの外…
壊滅している外界からの侵略者に対応する任。
もう一つは…
想定外の異常事態で、夢想空間が危機を迎えた際の対処。
「プログラムを調べてみる必要があるか…」
自身の体内には、この夢想空間を作り出す巨大システムに引けを取らない程度の高度なコンピュータが内蔵されている。
本来なら、夢想プログラムに介入するなど何人たりとも不可能な筈だ。
それ程までに高度で緻密なシステムだ。
しかし同じ程高度なコンピュータを持つ自分なら…内情把握程度の介入なら可能である。
自身から伸びる端子を夢想プログラムに接続する。
途端、洪水の様な情報量と侵入防止警機に気圧される。
並の機器ではここで回線ショートするが…
同じ速さで警機を一つずつ解除していく。
主プログラムへの直接介入や修繕は…
さすがに不可能だった。
今出来る事は…
先程見た、異様な光景の再確認と裏付け。
短期間での調査だったが、調べて分かった事…
“願いを叶える悪魔” 人々がそう呼ぶ存在を確認した。
“人間を千人殺した者には悪魔が何でも一つだけ願いを叶える”
この数百年の間の…いつしかで、その様な伝説が語られているらしい。
そのような…
世界に大混乱を招くプログラムが最初から組まれている筈は無い。
「これはバグだ…
完璧に作られた筈の夢想プログラムに…
重篤なバグが潜んでいた」
平和を第一に作られたプログラム…
人類の最後の願いとして、施行された計画だ。
もう二度と…あのおぞましい戦火へと
人類を向かわせたく無かった。
命令だから…
けれど、生体兵器である青年の願いでもあった。
…人々を守りたい…
(7話へ続く)