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!!!5秒以上1分未満な物語!!!

ブログ小説第2弾です!今回は主人公がいますwずっと描きたかったテーマだったので…上手く表現できれば…と思います!

【KADODE】100話 リージが膝から崩れ落ちながら見た空の先に…

第100話

 

リージが膝から崩れ落ちながら見た空の先に、光るナイフの軌道があった。

 

ナイフはワイバーンの首を刎ね尚、速度を保ちそのまま近く上空を飛んで様子を伺っていた3体目のワイバーンの羽付け根に刺さる。

 

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思わぬ攻撃に3体目のワイバーンは悲鳴を上げながら、地上へ落下していった。

羽にナイフは刺さったものの、致命とはいえないため、ワイバーンは地上へ叩きつけられる前に痛む羽を必死に動かし何とか上昇し、回避しようとしていた。

 

…そこへ、ルピナスが襲いかかる。

武器は持っていない。

唯一の武器であったナイフは未だワイバーンに刺さったままだ。

しかし武器が無い事に少しも臆すること無く、ルピナスワイバーンの長い首に蹴りの一撃を加える。

太めの木の枝が折れるような、嫌な音がこだまし、羽を動かしていたワイバーンの動きが止まった。

 

 

(101話へ続く)

【KADODE】99話 と、同時にナイフをワイバーン目掛け…

第99話

 

ルピナスワイバーンの炎を空中で躱し、ナイフをワイバーンの首目掛け投げつけた。

 

そのナイフの軌道はリージには見えなかった。

…恐らく自らの首目掛けて飛んできたワイバーンでさえ。

 

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ナイフは並の人の動体視力では追えない程の速さと威力でワイバーンの首に命中した。

 

ワイバーンは地に轟くような叫びを上げる。

首に訪れた、とてつもない衝撃と痛み…

しかし…その感覚を自覚できたのは、頭と胴体がナイフによって離れてしまった後だったろう。

 

ルピナスが炎を躱しながら投げたナイフは、ワイバーンの首へ刺さりそのまま首ごと切断する威力だった。

 

見開かれたままのリージの目…

余りの展開に頭が追い付かず。

しかし…ルピナスが無事だった事に緊張の糸が緩む。

そのまま、ヘタヘタと焼け炭だらけの地ベタへ膝から崩れ落ちる。

 

 

(100話へ続く)

【KADODE】98話 ルピナスは正面からワイバーンの…

第98話

 

ルピナスは正面からワイバーンの炎を浴びようとしていた。

1体目のワイバーンを仕留めた後、再度跳躍したその直後に2体目のワイバーンルピナス目掛けて炎を吐いたのだ。

 

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既に空中にいるルピナスには、どうしようもできない…

リージは叫ぶしか無かった。

目の前で知人が消し炭にされようとしている。

…そしてその炎はすぐに自分にも向かうだろう…

 

「自分は無力だ…何て無力なんだ…」

 

今度は目を逸らす事もできずに

ルピナスが全身に炎を浴びんとする瞬間を迎えようとしていた…

…が。

 

リージの虚になっていた目が見開かれる。

 

「…あ…」

 

余りのスピードにリージの頭も言葉も追いつかない。

ルピナスは迫る炎を空中で身を翻し躱していた。

と、同時にナイフをワイバーン目掛け投げる…

 

 

(99話へ続く)

【KADODE】97話 ワイバーンの首を落とした人物は…

第97話

 

ワイバーンの首を落とした人物は、一度下方の家の屋根へ着地する。

その勢いのまま再び跳躍…

 

しかし…そのタイミングで2体目のワイバーンが火を吐く。

十数メートル上空から地上に届く程の巨大な火柱のような一撃が跳躍したばかりの人物に襲いかかる。

 

「危ない!ルピナスさん!!」

 

…そうだ。

一体目のワイバーンの首を古いナイフ一本で断ち切ったのは…ルピナスだ。

彼にこれほどまでの戦闘能力があったとは…

戦闘経験がほぼ無いリージにとっては

彼の力量をはかり兼ねるが…

 

しかし…そのルピナスに危機が迫っている。

ワイバーンの炎をまともに喰らえば…

さすがのルピナスとて周囲の家屋同様…消し炭だろう。

 

こんな時…瞬時に自分が防御魔法を使えたら良かったのに…

 

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リージの目に涙が浮かぶ。

 

 

(98話へ続く)

【KADODE】96話 轟音の如き何かの鳴き声が耳に衝撃を与えた

第96話

 

リージは自分から遠のき、ワイバーンへ赴こうとするルピナスへささやかながらも、有りっ丈の気持ちを込めて祈りを捧げていた。

 

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決して敬虔な信徒とは言えないリージだったが…果たして祈りは通じるのか…

指を組み少し俯きかけた、その時だった。

 

轟音の如き何か…

生物らしき鳴き声が耳に衝撃を与えた。

 

「…⁈  …な、何? 」

 

未だジンジンと音の衝撃がこだましている自らの耳を押さえつつ、顔を上げたリージの目に飛び込んで来たのは…

 

長い首を真っ二つに絶たれ、血飛沫に巨体を染めながら落下するワイバーンだった。

 

「…え?」

 

リージは分けがわからず、瞬間固まる。

…一体誰が…

あんな巨大で強力な怪物を⁈

 

…いや。

 

その答えは、当然のようにすぐに判明した。

 

 

 

(97話へ続く)

【KADODE】95話「待って下さいルピナスさん!」

第95話

 

「待って下さいルピナスさん!

ちゃんとした武器や装備も無いのに…

ワイバーン三匹相手なんて…無茶過ぎです!」

 

ワイバーンの方へ歩き出しているルピナス

軽くリージの方へ向けて聞こえるかどうか程小さく言葉を発する。

 

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「武器は…村で貰ったナイフがある。

 

この程度の飛行生物なら…本来のチカラの15%も出せれば壊滅可能な筈だ。」

 

「…え?」

 

ルピナスの後半の言葉は、燃え崩れる家屋の轟音で聞き取れなかった。

 

リージの意識が一瞬別の方へ向いた時にはルピナスワイバーンへ向かい出していた。

 

ワイバーン三匹…

 

いずれも未だ上空…燃え盛る村の上で破壊を楽しんでいた。

 

そこまでの高さにはいないが…

それでも攻撃しようとすれば、弓か魔法しか届かないだろう。

 

ルピナスさん…」

 

リージは祈る。

勝てなくていい…

死なないで…

 

 

(96話へ続く)

 

【KADODE】94話 「三匹か…」

第94話

 

「三匹か…」

 

「僕が最初に見かけた時よりも、数は少しだけ減っています…

村を破壊…し尽くしたので他へ行ったのでしょう…」

 

リージは必死に冷静を保ちながらも、苦しそうに言葉を発する。

 

「けれど、流石に三匹相手では…不可能です…!

生存者救出を優先して…退避しましょう…!

 

ルピナスさんまで居なくなったら…

僕はどうすれば…」

 

言葉の最後の語尾が鼻声になる。

理性と感情が入り混じっているのだろう。

 

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「…無理はしない。

この世界で、どれほどチカラが自由に働くかは分からないが…試す価値はあるだろう。」

 

独り言のように囁くルピナスの言葉の意味がリージには分からなかったが、ルピナスに躊躇や恐怖は感じられなかった。

 

 

(95話へ続く)